この記事では、初めて社内報を担当する方のために社内報の基本的な制作手順と気を付けるべき各ポイントをご紹介します。
目次
社内報とは
社内報とは、社内広報の一つとして発行される定期刊行物のことです。
自社の理念・経営方針や代表の考えなどの周知や、各企画を通じた社員のモチベーションの向上、コミュニケーション促進など、さまざまな効果を狙って制作されます。また、昨今重視されているインナーブランディング※を実現するための有効な手立てでもあります。このほか、社内報は社内だけでなく、新卒採用時の採用ツールの一つとして利用されることや、社員家族に向けて自社の状況を紹介し、理解・協力を得るためのツールとしても活用されることがあります。
- 企業が掲げる理念やコンセプトに共感し、社員一人ひとりが目標実現に向けて自ら行動してもらうことを目的とした活動のこと。
発行目的やターゲットに合わせて編集方針を決める
社内報はただ発行するだけでは、意味がありません。幅広く社員に読まれてこそ、効果を発揮します。伝えたい内容をターゲットにきちんと届けるために、発行の目的と編集方針、ターゲットとなる読者を事前に明確化しておきましょう。また、社内報制作を外部の制作会社に委託する場合も、事前に編集目的や編集方針を自社内で詰めておくことがスムーズでブレのない進行・企画づくりにつながります。
発行目的や編集方針を設定する
社内報発行の目的は自社の状況や目指すものに応じて設定する必要がありますが、発行目的を「インナーブランディングの実現」と設定した場合、編集方針は以下のように想定できます。
- 企業理念の浸透
- 多くの社員に読まれる社内報
- 新入社員でもわかりやすい内容 など
編集方針はコンテンツ選定の指針にもなります。社内報制作後は、企画や方向性が編集方針や発行目的からずれていないか、折に触れて振り返ることも大切です。
読者ターゲットを明確にする
読まれる社内報に必要なのは、企画ごとの読者ターゲットの明確化です。社員全体に向けた内容では、なかなか深掘りができず、自分事としてとらえることが難しくなります。そのため、各コンテンツにおけるターゲット設定は事業所や部署など具体的なもののほうが、読者に刺さる、精度が高い企画につながるでしょう。
興味と共感を得る企画内容コンテンツの選定
発行目的と編集方針が定まったら、それをもとに企画内容の選定を行います。目的が多数ある場合は、優先順位をつけます。読者に興味をもってもらい、共感を得られるような楽しめるコンテンツにするため、社内のニーズを把握することも重要です。
思いつく限り企画内容を書き出し、目的と社内のニーズに沿った企画に絞りましょう。
定番企画・ネタ10選
実際の社内報でよく採用される定番企画をご紹介します。社内報を有効活用してもらえるような自社に適した企画を選定しましょう。
- 企業理念、経営方針
- 決算報告、業績報告
- インタビュー(社長、新卒社員、管理職など)
- 部署、社員紹介
- 座談会(管理職、若手社員、女性社員など)
- 季節行事(内定式、研修、表彰式など)
- アンケート
- リレー形式企画(社員紹介など)
- 社外活動(部活動、ボランティア活動など)
- 結婚、出産報告
お悩みや課題別にまとめた企画やネタは、続編「社内報を作ろう!②」で詳しくご紹介します。
制作手順・スケジュールの組み立て方
社内報の制作をスムーズに行うためには、スケジュール管理が重要です。
スケジュール表作成に向けて、まずは基本的な流れを確認しましょう。
社内報完成までの工程
- 発刊日など、ざっくりとした目標期限を設定する。
- 自社の抱える課題を洗い出し、発行目的と編集方針を定める。
- 課題について、伝えたい読者ターゲットを設定する。
- 目的と社内ニーズに沿った企画を選定する。
- 各記事のページ数を決め、「台割」を作成する。
- 構成・原稿・デザイン等、発行までの各フェーズの細かいスケジュールを組む。
- 各ページ構成を作成する。
- 原稿を作成、あるいは原稿を依頼・手配・回収する。
- 集まった原稿や素材を整理し、内容を確定する。
- デザインを作成。間違いが無いか等のチェック(校正)を加え、印刷。
- 発行
内容や媒体などによって前後しますが、①~⑪まで、おおよそ3~4ヵ月程度が目安です。発刊日が確定している際は、逆算して考えると制作時間を想定しやすいでしょう。初めにおおよそのスケジュールを組むことで、大体のページのボリューム感や制作時間を想定することができます。
スケジュールの組み立て方と進行のポイント
流れを確認できたら、スケジュール表を作成していきます。
- 校了日やデータ入稿日、発刊日など変わらない予定日を入れる。
- 企画等、各工程の準備や整理に必要な作業日数を入れる。
- 作業日数と校了日を考慮し、原稿回収などの締切日を設定する。
- 作業開始日を決め、納品までのスケジュールを見直す。
しっかりスケジュールを組み立てていても、さまざまな理由や事情で予定通りに進まないことがあります。少しでも時間を節約しスムーズに進めるために、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 企画の段階で内容を理解して詳細までしっかり決め切っておく。
- あらかじめ、上司や上層部の方からの了承を得ておく。
- 入力ミスや入力の手間を省くため、文字原稿は手書きや紙ではなく、Wordなどのテキストデータで回収する。
全体の構成やイメージは「台割」で俯瞰
社内報には取材、原稿作成、写真撮影などのさまざまな工程が各ページで発生しますが、まずは全体を整理する資料として「台割」を作成していきましょう。
台割とは
台割とは、どのページにどのような企画や誌面が入るのかの内容を示した設計図です。
初めに台割を作成しておくことで、制作工程の確認や内容のバランス、ボリューム感、ページの流れなどを確認することができます。全体を俯瞰できるため、情報共有やすり合わせにも有効な資料となります。そのため、一目で内容の把握ができるよう、シンプルでわかりやすいほうが使いやすくなります。
台割のタイプ
台割には、「リストタイプ」と「見開きページのタイプ」があります。掲載内容がシンプルな場合はリストタイプ、写真や図が多かったり、ページによってレイアウトが異なったりする場合は見開きページのほうがイメージしやすくなります。
台割の内容にルールはありませんが、原稿のおおよその文字数や写真の有無などまでを決めておくことで、構成の作成や原稿の執筆、編集作業をスムーズに進めやすくなります。また、撮影が必要な場合は写真の枚数や撮影シーンなどの詳細を担当者に伝える際にも使用できます。
台割の内容
- ページ数
- タイトル
- 内容
- 写真や図の有無
- 執筆担当者
- 原稿文字数 など
デザインとレイアウトを考える
デザインやレイアウトは、企画内容と読者ターゲットに沿ったものにすることが大切です。無難なものや綺麗に整えられただけでは、企画同様に読者には刺さりません。企画ごとのコンセプトを考える必要がありますが、レイアウトのポイントさえ押さえておけば、デザインによる自由な表現が可能です。
また、デザインは読みやすさや全体のクオリティに大きく影響しますので、社内報に慣れた制作会社へ依頼することも非常に有効です。
デザインやレイアウトの基本
- 読者の目線の動き
人の目線は基本的に上から下へと動き、横組みの場合はジグザグに流れZ型に動きます。また、大きいものから目でとらえる習性があるため、注目してもらいたい記事は、大きく、左上などの目に留まりやすい場所に配置すると良いでしょう。 - 効果的なデザイン
デザインは、全体のバランスを考慮して考えます。統一感のあるページとフリーレイアウトを組み合わせてデザインに変化やメリハリをつけることで、興味をもってもらうことができます。 - 読みやすく、わかりやすく
フォントはユニバーサルデザイン (UD) フォントを使用することで読みやすく、写真や見出しなどの共通要素を設けることでページに統一感が生まれ、理解しやすくなります。
OS工芸社の社内報制作実績
OS工芸社にはさまざまな社内報のリニューアル・制作の実績があります。台割を用いて、各タイミングですり合わせをしながらのスケジュール管理のサポートはもちろんのこと、企画提案や取材、原稿制作、デザインも手掛けています。
今回の記事のまとめ
- 読まれる社内報を作るため、発行目的と編集方針、読者ターゲットを明確にする
- 発行目的と編集方針に基づいて企画内容を選定する
- 進捗管理にスケジュール表や全体が俯瞰できる台割が有効
- デザインやレイアウトは基本を押さえ、企画に適した仕様にする
社内報は、会社の成長へとつながる重要な社内向け広報ツールです。より良い社内報づくりのため、今回ご紹介した内容をご活用ください。
OS工芸社では、これまでの社内報制作のノウハウをもとに、各会社様に適した社内報のご提案が可能です。初めて社内報作成をされる方、既刊を改善したい方、ぜひお気軽にご相談ください。
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