Webサイトは企業のプロモーションやブランディングなど重要な役割を担っています。そのWebサイトが、企業の目的を達成するために機能しているかを測定し、改善するために利用されているのがGoogle Analytics 4(以下GA4)です。GA4は2019年にベータ版として登場し、2020年に正式にリリースされました。また、2023年7月から一つ前の世代にあたるユニバーサルアナリティクス(以下UA)のサポートが終了になり、UAを利用してきたユーザーもGA4への移行が必要になりました。

今回は正式リリースされたGA4について紹介します。

進化を遂げるGoogle Analytics

2014年の正式リリース以降、UAはユーザーの希望を取り入れながら、繰り返しアップデートされてきました。しかし、時代の変化に合わせた根本的な改善のため、新世代となるGA4がリリースされました。GA4リリース後もUAは同時並行で稼働していましたが、2023年7月でUAのサポートが終了し、完全にGA4へと世代交代することとなりました。
GA4はこれまでのバージョンと比べるとさまざまな面で大きく変化しています。計測方法や管理画面などが刷新され、これまでよりもユーザーの行動実態に即した分析ができるように進化しており、次世代の分析ツールとして期待されています。

GA4の画面例

GA4の新たな機能

ユーザーの行動実態に即したデータ収集

これまでのUAはユーザーの訪問単位を表す「セッション」を主軸にした計測を行っていましたが、ユーザーが同じ場合でもセッションが違うと重複してカウントされたり、ユーザーがどれくらいコンテンツに興味、関心をもつか判然としなかったり、分析結果として信頼性が不十分な点がありました。
GA4では計測軸がユーザー単位となり、UAに比べてユーザーの行動実態を正確に計測できるようになりました。これによって、「通りすがり」か「真の顧客」かを見極められるようになりました。

具体的には、セッションの計測方法が以下のように変わっています。

  • 同じユーザーが一定時間内に複数回アクセスしても1度だけカウントする(デフォルトは30分)
  • 複数回Webサイトにアクセスした際、流入元が変わっていても1度だけカウントする。(訪問回数は別でカウント)
  • 閲覧中に日をまたいでも前日のセッションを引き継ぐ
  • セッションの最長時間が無制限
  • 同じセッション内でも、コンバージョンの数が複数回あればその回数も計測する

その結果、セッション数はUAよりGA4の方が比較的少ない傾向にあります。
他にも、新たな指標として、「エンゲージメントセッション」「アクティブユーザー」が追加されています。

エンゲージメントセッションとは、

  • 一定時間Webサイトに滞在したか(デフォルトは10秒)
  • 2ページ以上の閲覧があったか
  • コンバージョンがあったか

上記の内、いずれかの条件が満たされた場合にカウントされる指標です。エンゲージメントセッションが計測されることで、サイトに深く関わったユーザーとそうでないユーザーを判別できるようになりました。

アクティブユーザーとは、1秒以上画面を表示させているユーザーをカウントする指標です。ウィンドウのタブに表示しているだけの場合など、画面から見えない状態だとカウントされません。どちらもサイトに対して興味、関心が強いユーザーを判別するのに役立つ指標です。

ユーザー属性の一覧画面
  • ユーザーによる商品購入や資料請求、会員登録など、サイトの目的に即した成果

計測手法の変化

UAはページビューが主軸の計測だったので、個別ユーザーの行動は重視されていませんでしたが、GA4ではボタンクリック、動画再生、フォーム送信などのユーザーアクションに焦点を当てています。
これらのイベントが計測できるようになったことで、ページ遷移を伴わないWebページや、スクロールのみで見られるWebサイトについても詳細な計測ができます。また、「ライフタイムバリュー※1」や「コホートレポート※2」を使って、従来は測定が難しかったユーザーのカスタマージャーニー※3をより正確に測定できるようになりました。

計測の主軸がユーザーアクションになった背景には閲覧媒体の多様化があります。いまや、スマホやタブレットでWebサイトやアプリを利用するのは当たり前で、ページビューやセッションなどでは測れない行動が増えてきました。そういったユーザー行動を踏まえて、適応するために必要な変化だったといえます。

集計したイベントの一覧画面
  1. 一人のユーザーから生涯にわたってどれくらいの利益が得られるかを分析するための指標
  2. ユーザーごとにサービス継続率などが確認できるレポート
  3. 顧客が商品やサービスを知り、購入・利用意向をもって実際に購入・利用する等の一連の流れのこと

トラッキング機能の進化

GA4のトラッキングには3種類のユーザー識別子が使われます。

  • 優先度1位:ユーザーID
  • 優先度2位:Googleシグナル(Googleアカウントに紐づけられたID)
  • 優先度3位:ブラウザに保存されているCookie ID

上記の識別子のうち、一つを利用して、ユーザーをトラッキングします。スマホアプリで同様の識別子を利用すれば、同一ユーザーとして計測できます。ユーザーの所持している端末に関わらず、Webサイトとスマホアプリの横断的な計測ができるようになりました。

こうしたトラッキングの機能の強化は、顧客とあらゆる接点をもって、最適な購買体験を提供することで販売数を増やそうとする市場のトレンドにも合致しており、使い方次第では大きな成果をもたらすことが期待できそうです。

  • 特定のユーザーが、サイト内でどこを閲覧しているのかを追跡、分析すること

AIによる予測機能

GA4から新たにAIを利用した「予測指標」が導入されています。利用者数が最低人数を満たしている場合など前提条件はありますが、ユーザーがトラッキングに必要なIDの利用を拒否した場合でも、過去の収集データから「購入の可能性」「離脱の可能性」「予測収益」の分析が可能です。

参考ページ:予測指標について

収集したイベントデータの保存期間

集計データの保存期間はデフォルトでは2ヵ月ですが、最大14ヵ月(有料版は最大50ヵ月)まで保存が可能です。
それ以上の長期間で保存が必要な場合はGoogle Big Queryを利用するなど、別のサービスを利用した対応が必要になります。以前までBig Queryは有料版のみでしたが、現在は無料枠(制限あり)も解放されているので、導入のハードルは下がりました。ただし、2018年にEUで施行されたGDPRの影響で、世界的にCookieの取り扱いがセンシティブになっているため、GA4で収集したデータの取り扱いには注意が必要です。
収集したデータを必要期間以上に保存し続けることは、GDPRによって規制されています。そのため、収集目的が達成された時点で、データを破棄する必要があります。
目的達成までの期間は企業やサービスによって違いますが、こうした理由から、データの保存期間は基本的に短く設定されています。

  • EU一般データ保護規則、個人データ保護やその取り扱いについて詳細に定められたEU域内の各国に適用される厳格な法令

GDPRによるGA4への影響

残念ながらGA4はプライバシーを侵害しているとされ、EUを中心に世界的に大きな問題になっています。GA4はCookie情報を利用するサービスなので、違法であるという見方が強く、いまだにGoogle社とEUの間では利用にあたっての合意はとれていません。
2023年10月現在、Google社はEU圏内の多くの国から訴訟を起こされている状況です。GDPRに準拠するためにGA4を作った側面がありますが、完全にGDPRに準拠した作りにはなっておらず、先行きは不透明なままです。今後も、世界の動向に注意し対応する必要があります。

GA4へのOS工芸社の取り組み

OS工芸社では、こうした世界の動向を踏まえたうえで、安全にGA4が導入できるようにWeb制作を行っています。
また、GA4を利用するためにはユーザーから、Cookieの利用に関して同意をもらうことが必須なので、ポップアップを付けることで対応しています。
さらに、プライバシーポリシーの中で、どのようなCookieを利用しているか具体的な説明を行っています。プライバシー保護に配慮した設計を行うことで、信頼されるWebサイト制作を行っています。

プライバシーポリシーページの例

今回の記事のまとめ

  • Google Analyticsは、2023年7月のUAサポート終了によりGA4がに移行した
  • GA4では、あらゆる測定方法が変更され、これまでより実際のユーザー行動に則した分析ができるようになった
  • GDPRの法規制が厳しくなっているので、GA4の動向をこれからもチェックする必要がある

GA4は発展途上のサービスです。世界の情勢を踏まえてこれからも段階的にアップデートが続くと思われます。GA4はより詳細にユーザーの行動を分析し、Webサイトの利便性を高めるために活用できる一方で、日本国内においてもGA4を利用するWebサイトの運営は、より一層プライバシーに対する配慮が求められるでしょう。

OS工芸社では、GA4の最新の動向を踏まえたプライバシーポリシーページのご提案やCookieポップアップの設置を行っています。Webサイトの制作やリニューアルでお悩みの方、ぜひお気軽にご相談ください。

Webサイトの制作をお考えの方はお気軽にご相談ください。

貴社の戦略パートナーとして、企画から制作までワンストップでサポートします。

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OS工芸社ロゴ
株式会社OS工芸社 OS FINE ADVERTISING INC.

私たちOS工芸社はBtoBプロモーションを得意とする制作会社です。上場企業・製造業を中心に、BtoBに特化した会社案内やウェブサイト、映像などの広報・営業ツールの制作を行っています。

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