前回の記事では、サーバーの役割やWebサイトを表示するために必要なWebサーバーおよびDNSサーバーについてご紹介しました。
しかし、世の中に存在するサーバーはWebサーバーとDNSサーバーだけではありません。サーバーに関して少し調べてみると○○サーバーという名前がたくさん出てきて混乱する方もいるでしょう。この記事では、サーバーの種類や特徴を所有者別、仕組み・利用形態別、用途・機能別に切り分けてご紹介します。
目次
所有者別
「誰のサーバーか」という点では、社内にサーバーを所有し専門知識のある人材を配置して管理を自社で行う「自社サーバー」と、サーバー会社が所有・管理するサーバーを借りて使用する「レンタルサーバー」に分かれます。
自社サーバーは導入機器や運用方針、セキュリティ対策など全て自社の自由に決められる一方、人件費やメンテナンスにかかるコストが嵩みがちで、設備や社内体制を整えるのにもかなりの労力が必要です。
レンタルサーバーでは運用や保守は基本的にサーバー会社が行うため、社内リソースを必要とせず費用面でも有利ですが、自社サーバーと比較すると自由度は下がります。
仕組み・利用形態別
「どのような仕組みのサーバーを利用するか」という点では、「物理サーバー」と「仮想サーバー」に大別されます。
物理サーバー
1台のサーバーに対して1つのOSを搭載しているサーバーです。物理サーバーはさらにその利用形態によって「専用サーバー」と「共用サーバー」に分類されます。
専用サーバー
1台の物理サーバーを1ユーザーが独占利用するサーバーです。
専用サーバーはよく一軒家に例えられ、独占しているため利用できる容量も大きく他ユーザーの影響を受ける心配がありません。
レンタルサーバーでは1つの物理サーバーを丸ごとレンタルする専用サーバープランとして提供され、使用するOS・アプリケーションの選択や設定も自由に行えます。その分利用料金が高く、ユーザー側が行う管理の範囲も広いため手間が掛かるというデメリットもあります。自社に最適な環境構築や運用には専門知識が必要ですが、それらをサーバー会社に任せるサービスが提供されている場合もあり、自社でどこまでの管理権限を持つか選択もできます。
メリット
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デメリット |
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利用に向いているサイト | セキュリティ対策や安定性がより厳密に求められる大規模サイト |
共用サーバー
1台の物理サーバーを他のユーザー(個人・企業など様々)とシェアして利用するサーバーです。
一般的にレンタルサーバーと言うとこのタイプを指している場合が多いです。
専用サーバーが一軒家に例えられるのに対して、共用サーバーは水回り(=OS)共用のシェアハウスに例えられ、契約プランに応じて使用できる容量などが決定します。提供会社が一括管理している範囲が広く、ユーザー側で細かな設定の変更はできませんが、料金が安く導入しやすいのが特徴です。ただし、他ユーザーと共存しているためWebサイトの表示速度などで他者の使用状況の影響を受ける可能性もあります。
メリット
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デメリット |
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利用に向いているサイト | 費用や手間を抑えて運用したい小・中規模サイト |
仮想サーバー
1台のサーバーに対して複数のOSを動かし、それぞれ環境の異なる独立したサーバーのように利用する仮想化技術を使用したサーバーです。仮想サーバーはさらにその利用形態によって「VPS」と「クラウドサーバー」に分かれます。
VPS(Virtual Private Server)
1台のサーバーを複数ユーザーで共用している点では共用サーバーと同じですが、仮想化技術によりそれぞれ異なる環境を利用できるため、共用でありながら専用サーバーのように使用できるサーバーです。その特徴から仮想専用サーバーとも呼ばれます。
共用サーバーがシェアハウスに例えられるのに対して、水回り(=OS)が部屋ごとに分かれているマンションの様に例えられます。使用するOS・アプリケーションの選択や設定はユーザーの自由に行うことができ、専用サーバーほどではないにしろカスタマイズ性が高いのが特徴ですが、その分専門的な知識も必要になります。また、各ユーザーに対してあらかじめCPUやメモリなどのハード資源が割り当てられているため、共用サーバーと比較して他者の使用状況の影響を受けにくくなっています。
メリット
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デメリット |
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利用に向いているサイト | 自社専用の環境を安価で手軽に利用したいサイト |
クラウドサーバー(IaaS)
VPSと同様に仮想化技術を使用し、ユーザーごとに環境の異なる専用サーバーのように使用できるサーバーですが、VPSよりも柔軟に容量やスペックを変えられるサーバーです。
VPSは決められた契約プランのもとで提供されるため、ディスク増設などの方法は提供されているものの拡張性に制限があるケースが多い一方で、クラウドサーバーは1契約の中でサーバーの台数を増やしたり不要なスペックを落としたり自由に変更することが可能です。ただし、自社に最適な環境にカスタマイズするためには、さらに専門的な知識も必要になります。
VPSが通常の賃貸マンションほどの自由度とするならば、クラウドサーバーはマンションの1室を事務所利用するために隣の1室と繋げて拡張したり、その際お風呂は複数不要のため1つを取り除いたり、例え話にはなりますがそれくらい自由にカスタムできます。ただし、利用料金は従量課金制が多いため、ランニングコストが毎月変動してしまい予測しにくいというデメリットもあります。
メリット
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デメリット |
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利用に向いているサイト | 利用状況に応じて柔軟に契約を見直したいサイト |
用途・機能別
サーバーには、OSにくわえ用途ごとにソフトウェア(ミドルウェアやアプリケーション)を入れることで特定の機能を持たせています。WebサーバーやDNSサーバーという名称もこれら機能の部分※1を指します。
以下に挙げているのはその一例です。
それぞれの詳細な説明は省きますが、WebサーバーがWebサイトの構成ファイルを保管・提供するように、メールサーバーはメールの送受信に、データベースサーバーはデータベースの管理に、それぞれ名称通りの機能を持っていると認識しておけば問題ありません。
- Webサーバー
- データベースサーバー
- メールサーバー
- FTPサーバー
- DNSサーバー
- SSHサーバー
- ファイルサーバー
- アプリケーションサーバー
一般的なレンタルサーバーの契約では、Webサーバーとしての機能以外にも、メール・データベース・FTP・SSHなどの機能を併せ持ったサーバーが提供※2されています。特にWebサーバーとメールサーバーが同じ契約の場合は、サーバーを乗り換える際に各ユーザーでメールソフトの設定を変更する必要があり、手間がかかるため注意が必要です。
また、DNSサーバーの設定は契約したサーバー会社のDNSサーバーを借りて行うことができますが、場合によっては別会社のDNSサーバーから設定を行わなければならないこともあります。サーバー契約先でドメインの管理も行っているとよりスムーズに設定や変更を行うことができるでしょう。
- ハードウェアを含めて、機能を持つコンピューター全体を指す場合もあります。
- サーバー会社や契約プランによって使用できる機能は異なります。
OS工芸社のできること
Webサイトの新規制作やリニューアルの際、現在利用中のサーバーのご利用状況によってはWebサーバーの乗り換えが必要になるケースがあります。また、利用中のサーバーが無い場合はWebサーバーの新規契約が必要です。まずは自社のサーバー利用状況や、利用しているサーバーの種類・契約プランについて確認しましょう。
OS工芸社では、お客様のサーバー利用のご状況(メール利用の有無など)をふまえた上で、Webサイト運用に適切なサーバー会社・契約プランの選定、契約後の環境設定までを真摯にサポート※しています。
Webサイトの制作・納品においても手厚いフォローをご提供していますので、Webサーバーについて深い知識をお持ちでないお客様でも安心してご相談ください。
- サーバー会社とのご契約自体はお客様ご自身で行っていただきます。
今回の記事のまとめ
- サーバーの種類はサーバー所有者やその仕組みによって様々な分類・名称があり、それぞれに利用のメリット・デメリットがある
- 一般的なレンタルサーバーはWebサーバー以外の機能も併せ持ち、特にWebサーバーとメールサーバーが同じ契約の場合、サーバーの乗り換えには注意が必要
- Webサイトの新規制作やリニューアルの際は、自社のサーバー利用状況・種類・契約プランがどのようになっているかを確認する
OS工芸社ではWebに関する知識があまりない方にも安心してご利用いただけるよう、サーバーの選定や乗り換え時の対応についても親身になってアドバイス・ご提案させていただいております。ぜひお気軽にご相談ください。
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