Webサイトの制作について調べていると、「WordPress(ワードプレス)を導入するとWebサイトが簡単に作れる!」といったワードを見かけることはありませんか?
WordPressとはWebサイトやブログなどの作成ができる無料のソフトウェアで、Web関連の技術や知識がなくてもページの作成や更新を手助けしてくれるツールのことです。
今回は、世界中でWebサイトの制作に利用されているWordPressが「どのようなものなのか」、「利用するメリット・デメリット」などを解説します。
目次
WordPressとは
WordPressは世界中の人に利用されているCMS※1(コンテンツマネジメントシステム)の1つで、原則無料で入手・利用が可能です。
Webサイトを作成するためにはHTMLやCSS、JavaScriptといったプログラミング言語の知識が必要ですが、WordPressを導入することでそれらの専門知識がなくても比較的簡単にWebサイトを作成することができます。
2024年1月時点で全世界のWebサイトの4割※2がCMSを利用しており、その中でWordPressのシェアは世界でも約6割※2と世界で一番利用されているCMSです。
WordPressが多くの人に支持されているのには理由があります。
次章でWordPressにはどのようなメリットがあるか具体的に見ていきましょう。
- 専門知識がなくてもWebサイトの更新やページ作成を簡単に行えるツールのこと
- 出典 - Market share yearly trends for content management systems
WordPress導入のメリット
専門知識がなくてもWebサイトを更新できる
WordPressを導入すれば、HTMLやCSSなどの専門知識がなくてもWebサイトを更新することができます。2018年にリリースされたバージョン5.0からは、見出しや文章、画像などをブロック単位で管理し、位置調整やレイアウト変更が容易に行える「ブロックエディタ」と呼ばれる機能が追加され、要素の作成や移動、コピーなどが以前のエディタよりも直感的かつ簡単に操作できるようになりました。そのため、専門知識がなくても誰でもWebサイトを更新できるようになります。
タイムリーでスピーディーな更新ができる
制作会社などの専門業者にWebサイトの運用を委託する場合、
- 見積
- 発注
- 制作
というフェーズを経てようやく公開となります。そのため、Webサイトに反映されるまでに時間がかかります。
WordPressを使って社内で更新できれば上記のフェーズを省略できるため、すぐに情報開示を行わないといけない場合や、公開時期が指定されている場合などでも、情報を公開したいタイミングで更新ができます。
複数人での作業が可能
WordPressにはユーザー管理機能があり、ユーザーによって権限設定をしたり、承認フローを設定したりできます。複数人で作業する場合も閲覧や編集作業などが同時に行えるため、組織での運用でもストレスなく利用できます。
利用可能なプラグインが豊富で、カスタマイズが容易にできる
WordPressの公式サイトでは、標準機能にはない拡張機能を追加できる「プラグイン」が数多く公開されており、アップデートも頻繁に行われています。
無料で利用できるプラグインも多くあり、インストールするだけで標準機能にはないカスタマイズ機能を容易に追加できることもWordPressが人気な理由の1つです。
- お問い合わせフォームの作成
- SEO対策
- セキュリティ強化
- サイトの表示速度向上(画像圧縮、キャッシュ作成など)
開発・改善が盛んに行われている
最初にお伝えしたように、WordPressは全世界で多くのシェアを獲得しており、開発やアップデートが活発に行われています。そのため、機能追加やセキュリティ対策なども頻繁に行われています。
また、利用ユーザーが多いためWeb上に多くの開発・利用情報が出回っています。もし問題が発生して自己解決できない場合も、検索してみると解決策が見つかることが多いです。
WordPress導入のデメリット
複雑なページやカスタマイズには知識が必要
ブロックエディタを使用すると、ブログやニュースなどの記事は簡単に作成できますが、それ以上のオリジナリティやデザイン性の高いページを作成したり、プラグインにない機能を追加したりするのには専門知識が必要です。
もちろん、基本的にはプラグインの導入などで行えるカスタマイズの範囲で十分事足りると思いますが、より細部までカスタマイズしたい場合は、ご自身で行う必要があります。
セキュリティ対策が必要
WordPressは誰でも無料で利用でき、プログラムのソースコードが公開されているため、ハッカー達がセキュリティの脆弱性などを発見しやすく、サイバー攻撃を受けやすいです。過去にはWordPressを利用しているサイトの乗っ取りや改ざんが行われるなどの被害もありました。
しかし、WordPressはセキュリティアップデートも頻繁に行われており、このような被害は下記の対策を行うことで防げることがほとんどです。
- WordPress本体やプラグインのバージョンを常に最新に保つ
- ユーザーのID、パスワードを特定しにくいものに設定する
- 定期的にバックアップを行い、何かあっても復旧可能なデータを保持する
- セキュリティ対策用のプラグインを導入する
サイトの表示速度が遅くなる可能性がある
通常のサイトはHTMLファイルをサーバーから呼び出すだけで表示できますが、WordPressはページにアクセスがあるたびに、データベースからデータを呼び出してファイルを生成する仕組みのため、比較的表示速度が遅い傾向にあります。表示速度が遅くなると、ユーザーの直帰率が上がったり、検索順位に影響が出たりといったデメリットが発生します。
表示速度を上げるためには、下記のような対策が必要です。
- 画像ファイルをアップロード前に圧縮する、または圧縮するためのプラグインを導入する
- 動画ファイルはYouTubeなどの埋め込みを使用する
- 使用していないプラグインは停止、削除する
- 性能の高いWebサーバーを使用する
WordPressは導入した方が良い?
メリットとデメリットについて紹介しましたが、前章のポイントを踏まえて、WordPressの導入が向いているサイト、向いていないサイトについてまとめました。
向いているサイト
サイトの更新頻度が高い
更新頻度が高いWebサイトの場合は、WordPressを導入することでWebの知識がなくても専門業者に頼ることなく新規ページの追加やテキストの修正、画像の変更などを行えます。
また、WordPressを導入するのに初期コストは掛かるものの、長期的な運用コストを大幅に削減することができます。
複数人で管理を行う
WordPressはサイトを複数の人で管理することに向いており、並行して作業を進めることができます。ユーザーごとに権限を設定することができるので、情報の漏洩を防止したり誤操作によるミスも少なくなり、安全に運用することができます。また、ページ検索の機能やページ別にカテゴリーを設けることで、ページ数が多くても管理が簡単にできます。
決まったデザインのページが多い
製品情報やコラムなど、決まったデザインのページが多い場合は、WordPressを導入することで誰がページを作成しても同じデザインのページを作成でき、サイトの統一感も向上できます。
また、特にページ数が多い場合に一覧表示を自動で出力したり、カテゴリ分けすることもできるため、ユーザビリティの向上にもつながります。
向いていないサイト
サイトの更新頻度が低い
WordPressはサイトを運用する上でのメリットのひとつは、専門業者に頼らずスムーズに更新ができるという点ですが、そもそも更新頻度が低い場合はこの効果が薄くなるでしょう。
デザインをページ毎に変えたい
WordPressの管理画面から誰でもページの更新が可能というメリットはありますが、デザインテンプレートを使用してページを作成するため、複雑なデザインや細かい調整が必要な場合に関しては対応ができない場合があります。ページ毎にデザインが違う場合や、複雑なレスポンシブ対応が必要な場合は、専門業者に対応してもらう必要があります。
サイトのページ数が少ない
ページ数が少ない場合や、LP(ランディングページ)の作成には、WordPressの更新性や機能をあまり活用できないため、WordPressの導入は向いていません。
特に、LPの場合は広告用に作成することが多く、表示速度が重視されるためHTMLで作成した方がメリットが多いです。
WordPress導入に必要なもの
ドメイン
WordPressに限らず、Webサイト作成にあたってドメインを取得する必要があります。
既に存在しているドメインは登録することができません。また、一度取得したドメインは後から変更することができません。変更したい場合は再取得の上、Webサイトの移転が必要になるため、慎重に決めましょう。
Webサーバー
Webサイトを公開するために必要なのがWebサーバーです。WordPressを利用するにはWebサーバーにWordPressをインストールする必要があります。通常WordPressをインストールするためにはひと手間かかりますが、レンタルサーバー会社によっては簡単にインストールできるところもあるので、それらを利用して工数が削減できる場合もあります。
データベース
WordPress内で作った記事や使用するデータなど、サイト内の情報を格納するための保管庫の役割を果たすのがデータベースです。WordPressを利用する場合は必須で、Webサイトを管理して運用する上で重要なものです。WordPressはブログ用に開発されたCMSなので、ブログの記事を格納するデータベースはデフォルトで存在しますが、製品情報などのサイト特有のコンテンツをシステム化したい場合は、カスタマイズ対応が必要になります。
WordPress導入へのOS工芸社の対応
当社でWordPressの導入を行う場合は、WordPressのデメリットへの対策として、プラグインを使ったセキュリティ対策や速度表示低下の抑制などを行っています。他にも、WordPressの最新版へのアップデート対応や、不具合が発生した際のサポートにも対応しています。お客様に安心してWordPressをご利用いただけるようにカスタマイズやサポートを行っています。
WordPressの導入実績のご紹介
旭エンジニアリング株式会社様
WordPressの投稿機能をカスタマイズし、製品情報などを自社で更新できる仕組みを作成しました。
決められた項目にテキストやファイルなどを入力することで、誰でも簡単に同じデザインのページを作成できます。
みづほ工業株式会社様
WordPressの投稿機能をカスタマイズし、コラムや製品情報などを自社で更新できる仕組みを作成しました。
常に最新の情報を発信しており、顧客満足度のアップに貢献しています。コーポレートサイトとしてはもちろん、オウンドメディアとしてもご活用いただいています。
今回の記事のまとめ
- WordPressは世界で最も利用されている、Webサイトやブログなどの作成ができる無料のソフトウェアで、専門知識がなくてもページの作成や更新を手助けしてくれるツール
- メリットは誰でもWebサイトの更新が容易にできることや、便利なプラグインでカスタマイズができること、複数人で作業しやすいことなど
- デメリットは複雑なページの作成やカスタマイズには専門知識が必要なことや、セキュリティ対策をしっかりしないといけないことなど
- 更新頻度が多い、複数人で管理したい、更新費用を抑えたい場合はWordPressの導入は有効な手段となる。初期費用をかけたくない、ページ毎にデザインをこだわりたい、更新があまり必要ない場合は、WordPressの導入効果が薄い場合がある。
WordPressを導入することで、自社でもWebサイトの更新が容易になりますが、場合によっては導入の必要がないかもしれません。
OS工芸社では、お客様のWebサイトの運用状況によって、WordPress導入の有無やカスタマイズ、セキュリティ対策、サポートなどを適切に行っています。
WordPressの導入をご検討される際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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